節子を死なせたのは清太!?火垂るの墓と「死」の繋がりがヤバかった

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火垂るの墓」は野坂昭如氏の同名原作をもとに描かれたスタジオジブリ・高畑勲監督の作品。

ファンタジーアニメーションが多いスタジオジブリの中にあって、本作品は太平洋戦争における日本をリアルに描写しているため、異色作と言っても良いのではないでしょうか?

そんな「火垂るの墓」の主人公である清太

彼は大事にしていた節子を亡くしたあと、駅でそのまま死に耐えてしまうのです。

なぜ彼はそこで死を迎えることになったのか?

そこで今回は、「清太の死」から汲み取れる彼の人物像について迫ってみました。

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火垂るの墓は「清太の死」から始まっていた!?

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まず思い出して欲しいのですが、「火垂るの墓」の冒頭は「僕は死んだ」という清太の語りかけから始まりますよね。

つまりこれ。彼が死を迎えた後だという事です。

要するに、この物語は亡霊になった彼自身が記憶を回想しながら語ったものみたいです。

で、話を辿っていくと…

兵庫県で暮らしていた清太とその妹・節子は神戸大空襲で母を亡くし、親戚の叔母の家に居候します。

始めは良かったものの、太平洋戦争が深刻さを増すにつれて国内はどんどんと困窮。

叔母は2人に厳しくあたるようになりました。

それに嫌気がさした彼らは反骨心から叔母の家を脱出。近所の貯水池に設けられた防空壕で2人暮らしを始めたのです。

居候を止めた開放感から、当初はそんな生活を兄妹ともに楽しんでいました。

ですが、当時は過去に例を見ないほど過酷な戦時下。

両親の形見を切り売りして食べていた彼らですが、次第にお金が底をつき始めました。

そこで近所の畑から野菜を盗んだり、空襲で焼けた家から盗みを働くことでなんとか生き延びようとします。

しかしこの厳しい戦況下、当時4才だった節子日を追うにつれて衰弱

ついには命を落としてしまいます。

日本が戦争に負けたことを知り、さらに最愛の妹・節子を亡くした清太は自分を見失うほど悲しみに暮れたのです。

やがて、何かに導かれるように駅のホームで朽ち果てるように死を迎えました。

なぜ彼はここで死を選んだのか?

…と、その前に。

筆者は清太の死から「ある一面」を見出しました。

それは、清太が自分の望み通りにならないと癇癪(かんしゃく)を起こすタイプである事。

もちろん彼はまだ14歳ですし、多感な時期ではあるものの、このような場面からはプライドの高さや強情さが滲み出ていたように思います。

ただし清太が持つ「プライド」は現代のように甘やかされて出来たものとは違い、戦時中をとにかく生き抜く意地のようなものがヒシヒシと伝わってくるのも事実。

当時、国内では軍事教育を受けた日本が常勝街道をひた走る報道がされるなか「日本は負けるはずがない!」という、確固たる想いが彼の中にも宿っていたのでしょう。

しかし国民の思惑とは裏腹に日本は敗戦。

戦争に赴いていた父親も亡くなっているだけに、ここで清太が大きなショックを受けた事は容易に想像できるかと思います。

駅のホームで死を迎えた清太は、もしかすると自分が死んだことに気が付かないまま幽霊と化してしまったのかもしれません…

つまりこの物語は、清太の「」によって初めてヒモ解かれる部分が多いのです。

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「節子の死」の原因は清太にあった!?

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実は筆者が「火垂るの墓」を鑑賞したのは、公開されてからずっと後のことでした。

テレビやDVDなどでいつでも鑑賞出来るにも関わらず、なぜ手が出なかったかと言うと…

この作品を観るとつらい気持ちになるとずっと思い込んでいたからです。

戦争の恐ろしさを伝える映画は「火垂るの墓」以外にも色々ありますよね。

戦争を扱った作品の鑑賞自体にはそこまで抵抗なかったのですが、なぜか「火垂るの墓」だけは他にない戦争の怖さが潜んでいるように感じたのです。

そんな気持ちを抱きながらこの作品を鑑賞してみると…

戦争の悲しさやそこから漂う薄暗さは予想通りのものでしたが、それ以上に印象に残った事があります。

それは、清太に対する「もどかしさ」。

基本的に彼は家族想いで、妹の節子にも惜しみない愛情を注いでいた事は周知の通りでしょう。

一方で、先述の通り彼はプライドが高く、それがアダになったとも考えられるのです。

どういう事かと言うと…

たとえば親戚の叔母から邪魔者扱いされるように描かれていますよね。

ただし叔母は彼を単に邪険にしていたのではなく、彼が家の手伝いや勉強もせずに日々遊んでいたことに対して不満を抱いたとも読み取れるのです。

つまり自分で自分の居心地を悪くしていたとも言えます。

また、防空壕に閉じこもって節子を死なせてしまった原因は多少なりとも清太にあると思います。

節子が栄養失調と診断された時点で意固地にならなければ、あれ程ひどい結末とはならなかったはず。

敗戦間際という危険な戦渦の中で、彼の不器用な振る舞いがこの兄妹をより不幸に導いてしまった節はあると感じています。

それでも「火垂るの墓」を通じて戦争の怖さ、さらに他の戦争映画とは一風違うメッセージを読み取ることができます。

まとめ

というわけで、今回は高畑勲監督の「火垂るの墓」においてあまり語られない部分、そして清太の死を中心にまとめてみました。

高畑監督の作品は各々のシーンにおいて監督の鋭い眼差しが感じられます。

感想は人それぞれだと思いますが、清太に注視して「火垂るの墓」を鑑賞すればまた新しい発見ができるかもしれません。

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